介護の現場から:認知症介護の心得「私が変わろう」

認知症の方を介護する際に、「認知症の方を変えるより、私が変わろう」という心得は非常に重要です。認知症の方は、脳機能低下により、これまでできていたことができなくなったり、理解力や判断力が低下しています。そのため、認知症の方の行動や言動を無理に変えようとするのではなく、むしろ介護者自身が自らの対応を見直す方が効果的です。



■柔軟な対応の重要性
認知症の方は、その日の気分や体調によって状態が大きく変化します。したがって、介護者は一律な対応ではなく、その変化に柔軟に対応する必要があります。固定観念にとらわれることなく、その日の状況に応じた介護方法を模索することが求められます。例えば、ある日は穏やかに接することができても、別の日には不安を抱えていたりします。このような日々の変化に敏感であり続けることが、認知症の方との良好な関係を築く第一歩です。


■共感的理解を深める
認知症の方の行動には、必ず背景があります。例えば、混乱や不安からくる行動は、その方が抱えている感情を理解することで、より適切に対応できるようになります。共感的理解を持つことで、認知症の方が安心感を得られるような接し方が可能になります。介護者がその方の気持ちに寄り添うことで、より穏やかなコミュニケーションが生まれ、信頼関係が深まります。


■コミュニケーションの工夫
認知症の方とのコミュニケーションでは、言葉選びや話し方が非常に重要です。ゆっくりと話し、簡単な言葉を使うことは、理解を助ける大切な工夫です。また、非言語的なコミュニケーションも効果的です。表情やジェスチャーを活用することで、言葉以上に感情を伝えることができます。このように、コミュニケーション方法を工夫することで、認知症の方との関係をより良いものにすることができます。


■介護者自身のケア
認知症の方を変えようとするあまり、無理をしてしまうことは、介護者にとって大変な負担となります。自分の対応を見直すことで、精神的、肉体的により穏やかな介護環境を作り出すことができます。また自身のケアを大切にすることで、介護者自身の心に余裕が生まれ、質の高い介護を提供できるようになります。



「認知症の人を変えるより、私が変わろう」という考え方は、認知症介護において非常に重要です。介護者が自らの態度や対応を柔軟に変化させることで、認知症の方との良好な関係を築き、双方にとって快適な介護環境を実現することができます。このことを胸に、日々穏やかな介護を目指してきたいと思います。(スタッフ:たか)